初級顔面モデリング (改訂版)

いきなりお詫びと訂正:最初に掲載した内容に不都合と説明不足な点が多々あり、全面的に書き直すことにしました。前の物をご覧になった方には申し訳ございませんが、もう一度ご覧ください。

はじめに (重要:長文ですみませんが必ず読んでください)

このモデリング法は、基本的にペンツールのみを使用し、片面のモデリングを終了してから、(正面から見て)最内の辺を少し引き伸ばしてミラーコピー・溶接する方法です。なぜそんな事(引き伸ばし)をするかというと、SoftF/Xでミラーコピーをする場合、溶接部付近のポリゴン数が少ないと変な感じになってしまうのと、このモデリング法は慣れないうちはどうしても左右のつながりが不自然(中央が尖った・あるいは逆につぶれた感じ)になってしまいがちで、溶接部の処理についてはもっと高度な方法もあるのですが、初級ということもあり、引き伸ばしを併用する方法を採用します。

これだと楽に溶接部を処理できますが、一つ注意しなければならないのは、予想外にオブジェクトの左右(特に中央部)が太ってしまう恐れがあることです。変形ツールである程度は対処できますが、中央部だけの自然な変形・修正はSoftF/Xでは少々難しいので気をつけてください。分かりづらい説明で申し訳ありませんが、要するに「顔の真ん中は”引き伸ばし”で作るから、ペンツールではモデリングしない」で、「左右は少し細目に作る」事を心がけてください。(最初から引き伸ばしてしまうのもバランスが取り易くてよいかもしれません。しかしその場合、事後の再分割・頂点の増加は困難になります)くわしくは、追って第二段階以降で説明いたしますので、今はあまり考え込まず作ってみましょう。

ペンツールモデリングは、地味で淡々とした作業になりますが、2Dで線を描くように形が作れ、ポリゴン数もあまり増えすぎず、ベジェ曲線やメタナーバスの変形・加工といった3DCGソフト特有の知識や経験がなくてもモデリングできます。反面、3面図から作るSoftF/Xの仕様上、「大らかな粘土造形」というより「きっちりと設計」している感覚に近く、それだけに三次元感覚が問われるため、カメラビューで常にあらゆる角度からデッサンが整っているかをチェックすることが重要です。初級編ですから、頂点・ポリゴン数は可能な限り抑えていきますが、プレステ2でFFのムービーがリアルタイムで動くこの御時世においても、いやこんな御時世だからこそポリゴン数よりデッサンが重要だと言うことを覚えておいて下さい(逆に言えば、デッサンが整っていればポリゴン数を減らしても説得力のあるモデルが出来るということです)。

おことわり:画面映像の色(非選択の頂点やバックの色)が普通のSoftF/XProと違っていますが、これは日本語版SoftF/XProをインストールした状態で、英語版SoftF/XProをインストール→アンインストールすると起こる現象です。単にオリジナルより見やすいからそうしているだけであり、特に違いがあるわけではありませんから気になさらないでください。

第一段階

@まずSIDEビューで横顔の輪郭を描き、それぞれの頂点をVertexコマンドで移動し、形を調整します。最初からあまり頂点は増やさない方が良いですが、顎や鼻はオブジェクトの説得力を増す重要な部分ですので、少し多めにするとよいでしょう。逆におでこ(頭部)は少なめでも問題ありません。始点と終点は前後(Y軸)で同じ位置にした方が作業しやすいですが、必ず必要と言うわけではありません。(画面@)

画面@

A始点と終点のみ選択して、FRONTビューに切り替えます。そして、その二点の間を、正面の輪郭を描きつつ結ぶわけですが、おでこから上の線の頂点の高さを横顔の頂点の高さにあわせてください(このエリアはなるべくモデリングの単純化を図りたいからです)当然頂点数も同じということになりますが、おでこから下のラインは横顔の頂点数をあまり気にせずにドローしてください(ただし、あまりに頂点数がかけ離れていると後々面倒ですが)。また、頂点の位置を決定しても、今後変更することもありますので、あまり厳密にやる必要はありません。(画面A)

画面A

BふたたびSIDEビューに戻ると、Aで描いた線が変な位置で上下一直線に並んでしまっています(画面B・青線はFRONTビューで書いた線)。黄緑の破線上(実際には見えませんよ、言うまでもないですが念のため)に線が並ぶんじゃないか・・・とつい考えてしまうのが人情ですが、三面図で作っている以上FRONTビューで正しく描いた線はあくまでFRONTビューから見た時のみ正しいのであって、SIDE,TOPビューで同時に望んだ線が構築されていくわけではありません。実はこれはペンツールモデリングでは非常に重要な概念であって、今後もSIDEでドロー→FRONT&TOPで調整(あるいはその逆)の延々たる繰り返しになることを覚悟というか認識しておいて下さい(なーに、すぐに慣れますって)。

画面B

CVertexで頂点を移動して整えますが、頂点は前後移動だけにして下さい。なぜなら、Bでも言いましたがこれはあくまで一つの方向からのモデリングだからです。ここで各頂点を上下に動かしてしまうと前から見た時の輪郭が変わってしまいます。ラインカーソルにするか、Shiftを押しながら操作するとやりやすいです。(画面C)

画面C

Dこれで前後左右の輪郭が整った、やれやれ・・・、とカメラビューでぐりぐりワイヤーフレームを動かしていると、何か変なことに気づきませんか?とりあえずエラの線だけ選択して、TOPビューに切り替えてみると・・・うわっ(笑)顎が尖っていますねー・・・そう、飛行機や車ならともかく、顔のモデリングで上から確認するなんてあまり思いもよりませんが、「三次元」である以上常に三つの画面(+カメラビュー)でのチェックを心がけましょう。(画面D)

画面D

E前述した通り顎は重要ですので、横顔のラインの顎付近の頂点を三つ選択して再分割(Ctrl+V)します。その後Vertexで滑らかなラインになるよう調整して下さい。(画面E)

画面E

Fエラのラインだけ選択してTOPビューに切り替え、Vertexで滑らかで丸みのあるラインになるよう調整します。この時も頂点は前後移動のみで調整して下さい(頂点を左右に動かすと顎の太さが変わってしまいます)。ミラーコピーという手法上、現段階で画面に存在しない反対側のラインへの整合性を考えながら調整するのは大変ですが、これは慣れるしかないですね。(画面F)

画面F

Gさて、ここまで作れたら、デッサンが整っているかちょっとチェックしてみましょう。まず保存して、すべての頂点を選択、もっとも内側の頂点(ミラーコピーしたら真ん中になる所)のどれかにカーソルをスナップ(F2)して「アクション」→「複製」して、また「アクション」→「ミラー」で、「縦軸上」を選択、「ミラーしてコピーして溶接します」は「いいえ」にチェックして「OK」します。するとオブジェクトがミラーコピーされますから、Moveツールで、コピーされたオブジェクト(選択されている方)を、Shiftを押しながら横にドラッグしてオリジナルのオブジェクトから少し離します。これは冒頭で述べたとおり、溶接部は引き伸ばして作る前提だからです。そして、カメラビューでオブジェクトをドラッグして様々な角度から形をチェックしましょう。片面だけのときには気づきにくい問題点が見えてくると思います。かく言う私も、「ちょっと縦長すぎたな」と、この後Scale+Ctrlで縦方向に縮めました。こんなシンプルなワイヤーフレームで形をチェックするのは難しいかもしれませんが、「そこに存在しない線をいかに想像出来るか」がペンツールモデリングで物を作るときのカギです。(画面G)

画面G

これで第一段階は終了です。これがペンツールモデリングの基本の全てであり、正直言ってこれ以上説明する要素はない、と言っても良いくらいですが、それじゃあんまりなので第二段階以降では各パーツの作り方とノウハウ、注意事項等について書こうと思います。

1999.03.16.23:18 by jin